1回の筋トレで全身を鍛えても大丈夫?
こんなお悩みを解決します。
✔︎この記事の内容
- 全身法トレーニングが向いている人とは
- 全身法のメリット・デメリット
- 全身法・分割法の違い
1回の筋トレで全身の筋肉を鍛えるトレーニング法「全身法」。実は、トレーニング法の中でも主流になっている「分割法」よりも、「全身法」で鍛えたほうが効率的な場合があります。どんな人が全身法に向いているのでしょうか。
この記事を読むと、全身法トレーニングに向いている人はどんな人なのか、全身法のメリットについて理解できます。
【結論】全身法が向いている人

- トレーニング初心者
- 自重のみでトレーニングしている人
- 週に1〜2回しかトレーニング時間が取れない人
そもそも全身法・分割法とは?
全身法・分割法の違いは、1回のトレーニングの内容をどのように構成するかという違いです。
全身法 | 1回の筋トレで全身をくまなく鍛える方法 |
分割法 | 1回に鍛える筋肉の部位を分けて筋トレを行う方法 |
全身法・分割法に関する研究結果

トレーニング中級者を対象に、週3回トレーニングさせた研究論文では、週に3回、3分割のトレーニングを行った群と、全身3回のトレーニングを行った群において、全身3回のトレーニングを行った群のほうが筋肥大効果が高かったとしています。
Influence of Resistance Training Frequency on Muscular Adaptations in Well-Trained Men
2015年に行われたこの実験では、両グループにおけるトレーニングボリューム(重量×rep数×set数)が揃えられていることがポイントです。つまり、トレーニングボリュームが同じであれば、高頻度でトレーニングを行ったほうが筋肥大効果は高かったということです。
全身法のメリット

- 全身バランスよく鍛えられる
- トレーニング頻度が少なくて済む
- トレーニング方法がわかりやすい
- 消費カロリーが多い
- フォームの習得がしやすい
全身バランスよく鍛えられる
全身法では、1回のトレーニングで全身を鍛えるため、全身の筋肉をバランスよく鍛えることができます。部位ごとにトレーニングの頻度が変わることがないため、特に初心者のうちは部位による成長に極端な差が生まれません。
トレーニング初心者は、トレーニングの強度がそれほど強くなくても、どんどん筋肉が成長していきます。全身法による比較的軽めの負荷でも、十分にバランスよく筋肉の成長が見込めます。
トレーニング頻度が少なくて済む
全身法では一度に全身の筋肉を鍛えるため、筋トレの頻度は少なくすることができます。
筋肉の成長には、回復の期間(超回復期間)が必要です。筋肉の大きさによって超回復期間は異なりますが、24時間〜72時間と言われています。
部位 | 超回復に要する時間 |
大胸筋(胸) | 48 |
広背筋(背中) | 72 |
大腿四頭筋(太もも) | 72 |
ハムストリングス(太もも裏) | 72 |
大殿筋(お尻) | 48 |
上腕二頭筋(力こぶ) | 48 |
上腕三頭筋(力こぶの裏側) | 48 |
下腿三頭筋(ふくらはぎ) | 24 |
腹筋(お腹) | 24 |
逆に分割法では、部位ごとにトレーニングを分けるので、毎日でもトレーニングすることが可能です。しかし、分割法で週1~2回のトレーニングでは1つの部位に対して回復期間を空けすぎてしまうことになります。分割法では最低でも3回以上のトレーニングが必要になってきます。
トレーニングメニューが組みやすい
全身法は、トレーニングのメニューの組み方が分かりやすいというメリットがあります。
分割法は、月曜日は胸、火曜日は脚といったように、スケジュールにそってメニューを組み立てる必要があり、手間がかかります。
しかし、全身法であれば、1回ごとのトレーニングメニューが基本的に変わりません。そのため、分割法より圧倒的に分かりやすく、初心者でもメニューを組みやすいと言えます。
しかし、毎回全くおんなじ種目のみを繰り返すだけでは、筋肉が刺激に慣れてしまい停滞してしまいます。全身を鍛える中でも、やる種目を日によって変えたり、「大きい筋肉」「小さい筋肉」に分けて順番にやるといった方法が有効です。
消費カロリーが多い
全身法により全身の筋肉を鍛えると、1回のトレーニングで消費するカロリーも多くなります。
筋トレは無酸素運動ですが、もちろんカロリーを消費しますし、総トレーニング時間が長くなることで消費カロリーは増えます。よって、脂肪燃焼効果も高まりますので、ダイエットをしたい人には最適です。
フォームの習得がしやすい
初心者にとっては、フォームの習得がしやすく、神経系の発達も早いのが全身法です。
これは、トレーニングの頻度が関係しています。全身法では週に2~3回、同じ種目を行うことになり、トレーニング頻度が高まります。そのため、単純にその種目に慣れやすく、フォームが固まりやすいのです。
一方、分割法では、1つの部位が回ってくるのが数回に1回となり、動作に慣れづらくなります。そのため、初心者が動作に慣れてフォームを固めるには全身法が有効です。
全身法のデメリット

- 1つの部位に対するトレーニングボリュームが少なくなる
- トレーニング時間が長時間になりやすい
1つの部位に対するトレーニングボリュームが少なくなる
- トレーニング時間の問題
- エネルギーの問題
全身法では1回のトレーニング時間で全身を回す必要があるため、1つの部位にかけるセット数は少なくなります。ボリュームは重量×セット数の掛け算なので、セット数が減ればトレーニングボリュームは少なくなります。
また、特定の筋肉を限界まで追い込んでしまうと、他の部位にかけるエネルギーが残らないので、自然と限界まで追い込みづらくなります。
以上から、1つの部位にかける総トレーニングボリュームは下がってしまうというデメリットがあります。
トレーニング時間が長時間になりやすい
全身法は全身の筋肉を鍛える種目を1回に納める必要があるため、筋トレが長時間になりやすいというデメリットがあります。
筋トレが長時間になってしまうと、
- 有酸素運動になってしまう
- コルチゾール(ストレスホルモン)が増える
- テストステロン(男性ホルモン)が減る
といった理由で、カタボリック(筋肉の分解)が進んでしまい、筋肉が小さくなります。
長い時間トレーニングできるということは速筋繊維の刺激ではなく、遅筋繊維の刺激になってしまう。となると発達への刺激という点では意味がないことになってしまう。また、長い時間のトレーニングはコルチゾールや、筋肉を分解してしまうホルモンを増やしてしまう。大体75分程のトレーニング時間が目安だと言われているが、75分を大幅に超えてしまうようなトレーニング時間だとコルチゾールがどんどん増えてしまい、テストステロンも落ちてしまう。そうなると、筋肉はむしろ減っていってしまうということにもなる。
最大でも75分以内にトレーニングを終えるようにする必要があります。

全身法・分割法との比較
以上をまとめると、全身法と分割法の違いは以下のようになります。
全身法 | 分割法 | |
方法の違い | 1回で全身の筋肉を鍛える | 部位ごとに分割で鍛える |
メリット | 1回のトレーニングでバランス良く鍛えることができる | 一つの部位に対するボリュームを増やすことができる |
デメリット | 一つの部位に対するトレーニングのボリュームが少なくなる | 筋トレにかける日数・時間が必要 |
全身法が向いている人

- トレーニング初心者
- 自重のみでトレーニングしている人
- 週1~2回しか時間が取れない人
トレーニング初心者
初心者は中上級者と比べて、筋肉が成長しきっていないため、少ない負荷でも十分に筋肉を追い込むことができます。そのため、全身法で全身の筋肉を鍛えたとしても、1回のトレーニングでの総ボリュームはそう高くなりません。
よって、少ない負荷で成長していける初心者のうちは、全身を一度に鍛える全身法の方が効率よく成長することができます。
自重のみでトレーニングしている人
ジムに通わず、自宅で自重のみで筋トレをしている人には全身法が適しています。
「自重トレーニング」とは、自分の体重だけを負荷にして行うトレーニングです。代表的jな種目としては、腕立て伏せや、スクワットなどが挙げられます。
自重トレーニングは、ウェイトを使ったトレーニングと比較すると、どうしても負荷が小さくなります。そのため、全身をトレーニングしてもカラダへの負担は小さく、全身法を取り入れやすいと言えます。
加えて、負荷が小さい分、頻度を高めてトレーニングすることで、週単位での総トレーニングボリュームを上げる必要があります。自重トレーニングのみの人は、全身法で週2〜3回トレーニングを行うと良いでしょう。
週1〜2回しかトレーニング時間が取れない人
仕事や学校で週に1〜2回しか筋トレの時間が取れない人は、全身法が適しています。
分割法で週1〜2回のトレーニングでは、筋トレの頻度が少なすぎてしまい、トレーニングの総ボリュームを確保できません。また1つの部位を週に1回未満しか鍛えないのでは、筋肉を休ませすぎてしまいます。
よって、週に1〜2回しか時間が取れない人は、全身法で1つの部位を毎週鍛えられるようにメニューを組むべきです。可能であれば、週に2回以上は時間を確保するようにして、1つの部位が週2回以上トレーニングできるようにメニューの組み立てをしましょう。
分割法より全身法?筋トレで全身法に向いているのはこんなヒト|まとめ
- トレーニング初心者
- 自重のみでトレーニングしている人
- 週に1〜2回しかトレーニング時間が取れない人
トレーニングを継続している人の中では、分割法が当たり前というような風潮がありますが、決してそんなことはありません。人によって、トレーニング経験や使える時間に違いがあるわけなので、あなたのライフスタイルに合った最適な方法を選択することが大切です。分割法だけにこだわる必要はありませんよ。
